反撃の芽を確実に摘むために継投とを選んだベンチの判断は、理解できる。「自分はあまり先のことを考え すぎるとよくない」とも自覚する。
だが言葉とは裏腹に、八回途中無失点の好投をたたえる大きな拍手に も、首脳陣のねぎらいにも、マウンドを譲る勝野の口元は緩まない。お立ち台で完封を意識したかと問われると「投げたかったけど、こうなっ てしまったので…」とうれしさの中に悔しさが入り交じった。 立ち上がりを無傷で乗り切ったからこそ、その後の好投につながっ た。直球が高めに浮き気味だった一回。先頭浜田に左前打を浴び、2死 後に村上を迎える。9月2日の前回対戦では第1打席に一発を浴びた相 手に「ここ最近はカーブもスライダーも自信を持っている」と気後れす ることなく立ち向かった。直球がうまく操れなくても、初球のカーブで ストライクをとって主導権を握り、追い込んで膝元へ食い込むスライダ ーでバットに空を切らせた。
二回以降は「脚を上げるのを低く して、しっかり低めに投げられた」 と、フォームを修正し、七回までは 被安打3。 与田監督は「徐々に制球 ん を取り戻し、良い形にしてきた。 変 化球でもストライクを取れるようになってきた」と2年目右腕の着実な に成長に声を弾ませる。
